薫り花に棘あり


出来事はある一本の電話から始まった。

「明日1時に桜上水に集合との西園寺監督からの伝言です」

子供特有の高めの声で告げられた言葉に従い
選抜メンバーは集合場所に集まったのは時間より早い20分前だった。

グラウンドに入るべきだったのかもしれないが
グラウンドにはサッカー部を含め色々なクラブが使用していた為、
邪魔にならい様気を使い門前で集まっていたのだが
全員に電話をかけてきた少女が見当たらず
兄と共にグラウンドにいるのだろうと考えグラウンドを内を探して
見ると考え通り兄の近くで金色の髪の少年と笑いながら話をしていた。

「そないな事があったんか・・
 まぁ、終わり良ければ全て良しと言った所やな。
 それにしてもこの短期間ではごつい変わったでぇ」

の話を聞いた感想を言い終わると少年は
を上から下まで見ながら思いを言葉にした。

「そんな事、無いと思いますが?」

言われた言葉に首をかしげながら、足から背中を見ようと
首を動かし自分の体を見た後、やはり言われた事が解らないと
苦笑していると

「まぁ、本人には解らんかもしれんなぁ・・・・」

しみじみと頷きながらも、の頭に手を置き
ととのえられた髪を崩すように乱暴に撫ぜると
痛みと重みがあったのか少し抵抗をしながら
体を動かし手から逃げる様に離れ距離を
取ると、乱れた髪を手櫛で直し

「何するんですか!?シゲさん!」

早口で紡がれる言葉に
名前を呼ばれた少年は言葉だけの誤りを入れ

「けどなぁ、自分では中々解らんもんでも
 他人には解る事もある。
 すでにはカウントダウンに入ったんや。
 その内、自信が解る変化が出てくるやろ」

今が10か1か、それとも5かは俺にも解らん

「そうなんですか?」

言われている言葉に首をかしげながら
意味を考え、もう一度自分の体を見ていると

ちゃん、そろそろ行かないと」

少し離れた所から名前を呼ばれ
振り向き、言葉を聞き入れた合図とばかりに
手を大きく振り

「シゲさん、私行きますね」

今まで相手をしてくれていたシゲに言葉言うと
頭を下げ離れて駆け足で名前を呼ばれた少年の所に
かけていった。

「ごめんね、将」

「うんん、大丈夫だよ」

お互い、微笑み合い門で待っている選抜メンバーの
所に歩いて行いった。

桜上水中、在学生2人と少女が輪の中に加わった事で
全員揃い次の指示の言葉を少女から貰おうと
全員の視線が少女に集中するが

「私も集合場所以外は聞いていないんです・・・・」

視線の意味を感じ取ると言葉と共に
申し訳なさそうに眉を下げていると

「大丈夫だよ。玲から言付けを受けとっているのは
 俺なんだから」

少女と見間違うばかりの少年がの前に立ち
幼子をあやす様に微笑みの頭を撫ぜた。

が、勇気と言う名の心の持ち主達は
さっさと用件を言えと言う眼差し

嫉妬と名の付く様な言葉を
心の中と視線を送るが
受けている人物はさして何も無い様に表情を
崩す事無く

「桜上水で集合したら武蔵野森まで来る事
 これが玲から受け取った言付け」

「むさしのもり?」

告げられた言葉の意味が解らないのか
行き先だけを繰り返し言葉にする

「ま、そう言う事だからさっさ行こうぜ」

何時も間にか翼の横に立っていた黒川の言葉に
頷き、荷物を持ち直し今までを見ていた翼と黒川の
背中を見ながら歩き出した。

確かに武蔵野森に席を置いている
東京選抜キャプテンの渋沢、藤代、間宮には
からは連絡をしていなかった。

言われた時にはナニも思わなかった
疑いも疑問も考え付かず、メンバーの所へ連絡をしていた。

西園寺監督の心遣いだったのかもしれない・・・・

メンバーと談笑しながらもの視界には将を捕らえ
離れなかった。

今、どんな気持ちで歩いているのだろう・・・・・
辛くは無いのだろうか?

声に出せない言葉が心を占め無意識に将を見ている

将がイヤな思いをするのなら着かなければイイ
そんな矛盾な事を考えていても、歩けば目的地に着く訳で
選抜メンバーは武蔵野森サッカー部専属グランドにいた。

もちろん出迎えてくれたのは選抜メンバーでもある
渋沢、藤代、間宮の3人と監督の西園寺
そして、武蔵野森サッカー部監督桐原だった。

西園寺の紹介で桐原監督に挨拶を済ませると
西園寺監督の指示の元
選手はユニフォームに着替えそれぞれがウォーミングアップを
行い、控えのメンバーとはドリンクを作りに移動し
急ぎグランドに戻りその光景を見ては驚きを隠せなかった

選抜メンバーの渋沢、藤代、間宮の3名が
青のユニフォームではなく黒と白でデザインされたユニフォームを
着て選抜メンバーと話をしていたのだ

驚き、立ち止まっていると藤代が気付き何時もと同じ様に
抱きつき、抱き上げ

ちゃん、俺のユニフォーム姿はどう?
 いつもと違ってカッコ良いでしょう!」

人なつこい笑顔でに問い掛けるが
先ほどの驚きから立ち直ってないのか
思考が上手く回らず無言でいると
近くにいた渋沢がが困っていると考え

「藤代、ちゃんが困ってるだろ。
 下ろしてあげたらどうだ・・・・・・」

いつものより穏やかな声で言葉をかけるが

「いやスよ!俺がちゃんを下ろしたら
 キャプテンが抱き上げるつもりでしょう!?」

相手に噛み付く様に怒りを出し
の体を支えている両腕に力を込め
より藤代との体をひっつけ渋沢から後ずさりで
距離を取り始めるが

「あ・・・・」

耳元から聞こえてきたの声に藤代が慌てて
の姿を見ようと顔を横に動かした瞬間
背中にダレかとぶつかる音と痛みを感じ
を捕らえかけていた視線と顔は
痛みと音を感じた背後に写すと藤代と同じユニフォームを
着、6と言う数字を持つ少年が立っていた。

「誠二、周りを良く見て動いた方が良いと思うけど・・・」

ぶつかってきた藤代に注意をすると、藤代が抱い上げている
の姿を見付け、

「この子が、誠二が言っていたちゃん?」

名前を呼ぶが、の視線は呼ばれた方を見ず

「当たり!竹巳すっげぇ〜」

藤代だけが反応をしめした。
いつもならすぐに自己紹介をするが目を合わせなければ
顔も動かさない事に渋沢は不思議に思いに声をかける

ちゃ・・・・」

「お前ら、なにやってるんだよ」

渋沢がの声をかけかけると、笠井の後ろから声をかけられ
から声のかけられた方向に視線を移すと
10の番号を持つ少年が渋沢達に向って歩み寄っていたのだ

「ちょっと色々合ってな・・・・悪かったな三上」

すまなさそうに謝っている渋沢を横目で見ながら
三上の視界の中心は藤代に抱き上げられているを捕らえていた。

「藤代、この子がお前の言っていたちゃんか?」

「そうスよ。
 いくら可愛いからって三上先輩にはあげませんからね。
 ちゃんは俺のモンですから!」

問い掛けられた質問に答えたものの、三上の言葉の雰囲気
と表情を見て敵と判断したのか敵意と忠告を混ぜ合わせた
言葉を付け加えると

「ほぉ〜大した自信じゃねぇか」

一瞬驚いた表情を見せたがすぐさま戻すと
言葉と共に挑発的な表情を見せ、の横顔を見ていたのだが
はある1点を見てつめていて会話など聞いていなかった。

が、藤代と三上の会話が続き笠井と渋沢がフォローを
入れている中、少女特有の声が響いた。

「藤代君、下ろして」

今まで聞いた事のない真剣な声に藤代と渋沢が驚き
笠井と三上は黙ってを見ていると先ほどと変わらない
雰囲気を持ったの声が聞こえた。

「お願い。藤代君」

名前を呼ばれると術にでも掛かった様に、力を込めて
を持っていた両腕の力が抜け、は滑る様に藤代の体から
地面に着地すると、足早にある場所に歩み寄っていった。

の声の呪縛にかかった様にその場から動けなかった
藤代達が視線だけでの背中を見ていると、一直線に
将の所に向かい横に立つと黙っていたのだが
将と話をしている人物にいきなり平手を食らわし

「ナニを勝手な事を言ってるんですか!!」

平手を浴びせた人物に怒りの籠もった言葉をぶつけたが
相手はいきなりの事で今、自分がどういう状態に
なっているのか理解出来ないのか
平手を浴びた頬を片手で多い呆然としていた。

そんな相手の行動が気に入らなかったのかは将の前に
立ちはだかり

「負け犬見たいにキャンキャン吼えて、さぞスッキリされましたでしょ
 将に言いたい事があるんでしたら努力して同じ立場に
 なられたらどうです」

イヤミをたっぷり含んだ言葉に
周りで傍観者に徹していた人物達に驚きと金縛りを
合わせ、言葉を受けた人物はどういう状態なっているのか
解り怒りを表しに使みかかり何か言おうとしたが
いち早く金縛りをといた渋沢が動き止めに入った

「天野!やめないか」

渋沢の声にの後ろに立っていた将も
動きの手を引き2人の距離を広げようとしたが
はその場所から動かず、天野と呼ばれた少年から
視線を外さなかった。

「将、私謝らないからね」

天野が渋沢に押さえられての視界から見えなくなると
後ろからの手を引っ張っていた将に向き
言葉を言った。

の言葉には怒りは含まれておらず
冷静さを取り戻した声であったが何時もの声より低い声ではあった。

ちゃん・・・・・・」

の気持ちも解り、自分の為に怒ってくれている事も解っている
だか、手を出した事はが悪い
自分の中で答えが解っているにもかかわらず
言葉としてどう言えば良いのか解らず
名前しか呼べない将に

「私は悪い事はしてないから謝らないからね!」

にも将の気持ちが解ったのか
もう一度自分の考えを言うと

「アレはアイツが悪いんだからが謝る事じゃねぇよ」

今まで第三者として傍観していた者からの言葉がかけられ
将とは同じタイミングで声の持ち主の方向に向くと
黒髪で長身の少年が立っていた。

「三上先輩」

誰だか解らずは不思議そうに見ていると
横にいた将から名前を呼ぶ声が聞こえ
の中で名前と人物を覚えていると
三上と呼ばれた人物はを見て

「ふ〜ん、守られているか弱いお嬢さんかと思えば
 噛み付く事もするとはねぇ・・・・・」

話しを聞いて自分自身で作ったイメージと会って感じた
第一印象との違いを感心しながら呟いた後に

「気に入った。、俺の女になれよ
 大人の女になれるように育ててやるよ」

取りようによっては問題発言とも取れる言葉に
誰しもが驚いた中に1人の声が響いた

「ナニ言ってるんスか!?ちゃんは俺の
 だって言ったじゃないですか!!」

「あ?藤代、お前何言ってるんだよ
 は俺の女になったんだ」

「いつ、そんな事になったんですか!?」

「たった今。お前そんな事も解らないのかよ・・・・」

呆れ声と半分涙声の混じった言い合いは
終る気配を見せず新たに1人加わる事になった。

「誠二も三上先輩も落ち着いて下さいよ。
 2人して自分のと主張しても当人のちゃんの
 返事が、まだじゃないですか。
 それと、ちゃんを気に入ったのは俺も一緒ですから
 同じ立場として、その話には加わりますから」

「竹巳!?」

言い争いを静める為に入った人物がいきなりの
ライバル宣言に慌てふためいた藤代とは違い
面白いと笑っている三上

どう見ても友好的ではない雰囲気に今まさに
真の勇気を持った人物が足を踏み入れた。

「お前達、ちゃんの気持ちも考えてやらないか・・・」

やんわりと争いを止める言葉に

「キャプテンだってちゃんが気に入ってたじゃないスか!」

火にガソリンを入れてしまったと確実にいえる言葉に
睨み合っていた人物の火が飛んだ

「そうだったな。渋沢もの事を
 気に入っていたんだっけなぁ」

「確かに。選抜から帰って来た日には何時も
 ちゃんの話が出てましたし・・・」

「そうそう、可愛いて言ってたし!」

「三上、笠井、藤代・・・少しは落ち着かないか・・・」

3人に囲まれ、迫力に負け少しでも
落ち着いてくれと願いを込めて名前を呼んでみるが

「じゃぁ、渋沢はイイんだな」

「いや・・・・そういう訳ではないんだが・・・・・」

どっちか決めろ!
と言う意図が含んだ三上の否定の言葉に
お茶を濁した様な返事を返した渋沢だったが
争いの加わる事になった。

こんな事で試合は出来るのだろうか・・・・・
監督として心配すべき事でもあるが
桐原自身、の事は水野の母親真理子から聞いていた。

「竜ちゃんのお嫁さんとして是非貰いたい子なのよ」

自分の事に様に嬉しそうに話すと言う人物に興味を持った。
今日の楽しみの1つでもあった。
が、見て驚いた。

いつだったか駅で会った少女だった。

短い出会いだったが、礼儀正しく誰かを思い出させる
人柄が記憶に残っていた

風祭将の妹、風祭
兄妹揃って礼儀正しくドコとなく似てはいるが
果たして血の繋がった兄妹なのだろうか・・・・
要らない心配をしてしまう

が、彼女なら息子の嫁として貰っても大丈夫だ。

妻の言葉に頷ける。
教え子が争っているのを横目で見ながら、息子の反応を観察
をしていると反応があった。

じっくり見ていないと見落としてしまう程小さな反応

そして、父親の勘に考えを加え1つの答えに行き当たる

後に息子はこの争いに加わる

こっそり、息子の将来の楽しみが増えた事に頷き
そろそろ、止めるべきかと思いながら教え子達の争いを見ていた。 



                蒼月砌様
                 宜しければお持ち帰り下さい
                 3000キリバンありがとう御座いました